診断の遅れが医療過誤となる場合

診断が遅れた事件では、「最終的な診断が正しかったか」だけではなく、どの時点でどの疾患を疑い、どの検査を行うべきだったかを時間軸に沿って検討します。

1 診断が遅れたことだけでは過失とは限りません

疾病には典型例と非典型例があり、初期には診断に必要な情報がそろわないこともあります。問題は、当時得られていた症状、既往歴、身体所見、検査値等から、重大な疾患を鑑別に挙げるべき状況であったかです。

2 「いつ」が重要です

医療過誤の検討では、初診時、再診時、検査結果判明時、症状悪化時など複数の時点を区切ります。ある時点では経過観察が合理的でも、その後の新たな所見により追加検査が必要になることがあります。

3 診断義務は検査義務と結びつきます

診断は推測だけで行うものではありません。具体的な疾患が鑑別に上がる場合、血液検査、CT、MRI、超音波、内視鏡その他の検査を実施すべき義務が問題になることがあります。

4 因果関係は別に検討します

早期診断が可能だったとしても、早く診断されていれば有効な治療が可能で、実際の死亡・後遺障害を回避できたかを別途検討します。