裁判所最高裁判所主な争点転送義務/脳梗塞/相当程度の可能性結論上告棄却

事案の概要

東京拘置所に勾留中の患者が脳梗塞を発症し、重大な後遺症が残った事案です。患者側は、速やかに外部医療機関へ転送して適切な治療を受ける機会を与えるべきだったと主張しました。

最高裁の判断のポイント

最高裁は、適時に適切な医療機関へ転送され治療を受けていれば重大な後遺症が残らなかった「相当程度の可能性」が証明される場合には、その可能性侵害による損害について責任が成立し得るという枠組みを示しました。一方、本件では搬送やCT等に必要な時間、血栓溶解療法の適応時期等を踏まえ、その可能性の存在が証明されたとはいえないとして請求を認めませんでした。

実務上の意味

転送義務事件の因果関係は「もっと早く転送すべきだった」で止まりません。転送決定から受入れ、搬送、検査、治療開始までを現実的な時間で組み立て、治療可能な時間窓に間に合ったかを検討する必要があります。

出典

最高裁判所公開判決PDF