事案の概要
長期間、副鼻腔炎として診療を受けていた患者が後に上顎癌と診断され死亡した事案です。患者側は、症状の変化から上顎癌等の重大疾患を疑い、高度医療機関への転医を勧告すべきだったと主張しました。
裁判所が検討した点
裁判所公開判決では、片側性の鼻症状や頬部症状など、上顎癌の早期発見上問題となる所見と診療経過を詳細に検討しています。また、転医が早ければ診断時期がどの程度早まり、生存可能性がどう変化したかも争点となりました。
この裁判例から分かること
診断遅延事件では、「癌だった」という結果から逆算するのではなく、各診察時点で存在した具体的所見から重大疾患を疑うべきだったかを検討する必要があります。さらに、義務違反が認められても、早期転医による診断・治療時期と予後を別途検討する必要があります。